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カウンセリングが治療の9割!?

「話すこと」が治療につながる理由
治療やトレーニングにおいて、施術や運動指導はもちろん大切ですが、実は「カウンセリング」の質が治療の結果を大きく左右する ことをご存じですか?私たちは、「カウンセリングこそが治療の9割を決める」と考えています。
なぜなら、患者さんが抱える悩みや痛みの背景には、身体的な問題だけでなく、心理的・社会的な要因が深く関わっている からです。

今回は、カウンセリングがなぜ治療の9割を占めるのか、その理由と実践のポイントをお話しします。


なぜ、カウンセリングが重要なのか?

患者さんが訴える「腰が痛い」「肩がこる」といった症状は、あくまで表面的なものです。
実際には、その背景には 「心理的な不安」や「生活環境によるストレス」 などが関わっていることが多く、これを正しく理解しないまま治療を進めると、なかなか改善しないケースが出てきます。

例えば、
・「この痛みは一生治らないのでは?」という不安を抱えている
・ 仕事や家庭のストレスで常に体が緊張状態にある
・ 周りに相談できず、痛みを一人で抱え込んでいる

こうした心理的・社会的な要因は、痛みを長引かせる原因にもなります。
だからこそ、カウンセリングを通じて 「心のケア」 をすることが、治療効果を最大化する鍵になります。


BPSモデル(生物・心理・社会モデル)で考えるカウンセリング

治療の世界では、「BPSモデル(生物・心理・社会モデル)」 という考え方が重要視されています。

これは、痛みや不調は「身体」だけでなく、「心理」や「社会的な環境」によっても影響を受ける という理論です。

Biological(生物学的要因) → 筋肉や関節の問題、炎症など
Psychological(心理的要因) → 不安・恐怖・ストレスなど
Social(社会的要因) → 仕事・家庭環境・人間関係など

例えば、同じ「腰痛」でも、身体の問題だけでなく、ストレスや生活習慣の影響で痛みが続いている場合 があります。このように、BPSの視点で患者さんを見ていくことで、本当に必要なアプローチが見えてきます。


「話すこと」が治療になる理由 〜カウンセリングと痛みの科学〜

「話すこと」そのものが治療になる理由は、脳と神経の働き によって説明することができます。
患者さんが「痛みをわかってもらえた」「自分の悩みを理解してもらえた」と感じることで、痛みの感じ方やストレス反応が変化し、回復が促進される ことが、多くの研究で明らかになっています。

① 痛みとストレスの関係(脳科学的アプローチ)

慢性的な痛みや長引く不調は、単なる「組織の損傷」だけでなく、脳がどのように痛みを処理しているか に大きく影響を受けます。特に、痛みの認識には以下の脳の部位が関与しています。

扁桃体(Amygdala)

  • 不安や恐怖を感じる部分。
  • 痛みへの恐怖が強いと、痛みをより強く感じやすくなる(痛みの過敏化)。

前頭前野(Prefrontal Cortex)

  • 思考や判断、感情のコントロールを担う部分。
  • 安心感を得ることで、痛みの認識を抑える働きがある。

帯状回(Anterior Cingulate Cortex, ACC)

  • 痛みの「不快感」を処理する領域。
  • 共感や社会的なつながりが強まると、この部位の活動が抑制され、痛みの感じ方が軽減する。

つまり、患者さんがカウンセリングを通じて「安心感」を得ることで、脳の痛み処理システムが変化し、痛みが和らぐ可能性がある のです。


② ストレス軽減と内因性鎮痛システム(オピオイド・オキシトシン)

「話すこと」による安心感は、ストレスホルモン(コルチゾール)を低下させ、痛みを和らげるホルモンの分泌を促進 します。

オピオイド(Endogenous Opioids)

  • 体内で分泌される「痛みを抑える物質」。
  • 特に安心感やリラックス状態で増加し、痛みの感じ方を軽減する。

オキシトシン(Oxytocin)

  • 「愛情ホルモン」とも呼ばれ、人とのつながりや信頼感が高まると分泌される
  • オピオイド系と連携して痛みを抑制する働きがある(触れ合いや温かい会話で分泌が促進される)。

研究によると、患者と施術者の信頼関係が強いほど、オキシトシンが分泌され、治療効果が高まる ことが示されています(Kikusui et al., 2006)。


③ 言語化が脳の痛みネットワークを変える(fMRI研究)

「話すこと」自体が痛みを軽減するというエビデンスもあります。

📖 Lieberman et al. (2007) のfMRI研究

  • 「自分の感情や痛みを言葉で表現すること」が、脳の扁桃体(不安・恐怖を司る部位)の活動を抑え、前頭前野の活動を活発化 させることを発見。
  • 言語化によってストレスや痛みが軽減される可能性を示唆。

📖 Creswell et al. (2007) の研究

  • ストレス状況で「自分の状態を言葉にするグループ」と「何も話さないグループ」を比較。
  • 言葉にしたグループは、ストレスホルモン(コルチゾール)の分泌が低下 し、心身の回復が促進された。

このように、カウンセリングで「痛みや悩みを言葉にする」こと自体が、脳のストレス反応を軽減し、痛みの感じ方を変える という科学的根拠があるのです。


④ 実際の臨床研究:カウンセリングと痛みの改善

📖 Moseley (2004) の研究(痛みの教育と慢性痛の関係)

  • 「痛みのメカニズムを説明し、患者が納得すること」で、慢性痛のレベルが大幅に改善する ことを報告。
  • カウンセリングを通じて「痛みの理解を深めること」が、実際に痛みの軽減につながる。

📖 Peerdeman et al. (2016) の研究(プラセボ効果と安心感)

  • 「ポジティブな期待」を持った患者は、そうでない患者よりも痛みの軽減率が高かった
  • 施術者が「良くなりますよ」「この治療は効果的ですよ」と説明するだけで、脳内の痛み抑制システムが活性化。
    つまり、「言葉の力」で患者の痛みの認識が変わり、治療効果が向上する ということです。

カウンセリングを効果的に行う3つのポイント

① 患者さんの「本当の悩み」を引き出す

「腰が痛い」「肩がこる」といった表面的な症状だけでなく、
・痛みが続くことで何を不安に感じているのか?
・ どんな日常生活の中で困っているのか?
をしっかり聞き出すことが大切です。

② 50対50の関係を築く

施術者だけが頑張っても、患者さんが「治してもらうだけの存在」になってしまうと、治療効果は半減します。
「私たちも本気でサポートするので、あなたも本気で取り組んでくださいね」というメッセージを伝え、患者さん自身にも前向きに治療に向き合ってもらうこと が重要です。

③ 「話すこと」が治療になることを意識する

患者さんが安心して話せる環境をつくることで、不安やストレスが軽減し、それだけで痛みが和らぐこともあります。「聞く」だけでなく、「共感する」ことを意識することで、より深い信頼関係を築くことができます。


まとめ

治療の9割はカウンセリングで決まる!
BPSモデル(生物・心理・社会)の視点を持つことで、患者さんの本当の悩みが見えてくる
「話すこと」そのものが治療になり、患者さんの不安を軽減する

施術やトレーニングの前に、「患者さんの心に寄り添うこと」こそが、本当に効果的な治療につながる ということを忘れてはいけません。

「ただ痛みを取る」だけでなく、
「患者さんが前向きに自分の体と向き合えるようになる」 ことを目指して、カウンセリングを大切にしていきましょう。次回は質問の切り出し方についてご案内をします!

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長島康之

長島康之

健康であれば、何でもできる。

長島康之 (ナガシマヤスユキ):柔道整復師(国家資格)。 株式会社nicori代表取締役(nicoriGYMとnicori整骨院を運営)。 現在はプロ野球球団の監督として采配をふるう、元プロ野球選手工藤公康氏の元トレーナー。

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