理論

ストレッチは柔軟性を高めるものじゃない

~動的ストレッチが関節のセンサーを目覚めさせる~

はじめに

nicoriでは、治療から運動指導までを一貫して行う中で、関節の正しい動きを引き出すことをとても大事にしています。

よく「ストレッチ=柔軟性を高めるもの」と思われがちですが、それだけでは不十分です。特にスポーツやリハビリの現場では、「どれだけ体が柔らかいか」よりも、「関節が正しく動いているか」のほうが、パフォーマンス向上や怪我の予防にとっては重要になります。

そのため、nicoriではストレッチを「筋を伸ばすもの」としてだけでなく、関節の機能を高めるためのアプローチとして考えています。特に、**動的ストレッチ(ダイナミックストレッチ)**は、神経系や関節のセンサー(固有受容器)を活性化し、身体の動きをスムーズにする効果があるため、トレーニングや施術の中で積極的に取り入れています。

本記事では、ストレッチの本当の目的を再考し、特に動的ストレッチがどのように関節の機能を最適化するのかについて解説します。


1. ストレッチの本当の役割とは?

ストレッチには、大きく分けて**静的ストレッチ(スタティックストレッチ)動的ストレッチ(ダイナミックストレッチ)**の2種類があります。

静的ストレッチと動的ストレッチの違い

種類目的適用場面
静的ストレッチ筋の緊張を緩める、リラックス効果クールダウン、リハビリ
動的ストレッチ関節可動域の向上、神経・筋の活性化ウォームアップ、競技動作前

一般的に「ストレッチ=柔軟性向上」と考えられがちですが、実は静的ストレッチをやりすぎると筋の反応速度が落ちることが研究でも明らかになっています。

一方で、動的ストレッチは筋や関節を動かしながら可動域を広げるため、神経系の活性化や運動時の安定性向上につながります。特に、スポーツをする人にとっては、ただ体が柔らかいだけではなく、「どのように動かせるか」が重要になります。


2. 動的ストレッチが関節機能を高める理由

(1) 関節内の滑液(潤滑油)が分泌される

関節がスムーズに動くためには、**関節滑液(synovial fluid)**と呼ばれる潤滑油のようなものが必要です。

長時間同じ姿勢を続けたり、運動不足になったりすると、滑液の分泌が減り、関節の動きが悪くなります。そのため、動的ストレッチを行うことで、関節の油切れを防ぎ、滑らかに動かせるようになります

(2) 関節のセンサー(固有受容器)が活性化する

関節には**固有受容器(proprioceptors)**というセンサーがあり、これが体の位置や動きを正確に把握する役割を持っています。

動的ストレッチを適切に取り入れることで、関節のセンサーを目覚めさせ、怪我のリスクを減らすことができます。

(3) 体幹と四肢の連動性が高まる

スポーツ動作では、単に「股関節が動く」「肩が動く」だけではなく、体幹と四肢がスムーズに連動することが求められます。

動的ストレッチを行うことで、関節の動きがスムーズになり、体幹と四肢の連動が高まります。


3. 実際に行うべき動的ストレッチ

① 股関節のダイナミックストレッチ

目的: 股関節の可動域向上+体幹の安定化

方法:

  • 片足を前後に大きく振る(前後スイング)
  • 横方向に脚を振る(サイドスイング)
  • 片足立ちで膝を90度に上げ、反対側の肘とタッチ(股関節屈曲+回旋)

② 肩関節のダイナミックストレッチ

目的: 肩甲胸郭リズムの調整+肩関節の可動域向上

方法:

  • 大きく腕を回す(前回し・後回し)
  • バンザイの状態から左右交互に背中側へ引く(肩甲骨の可動域拡大)
  • 小さなボールを持ち、壁を使って円を描くように動かす

4. まとめ

ストレッチは「柔軟性向上」だけでなく、関節機能を最適化するもの
動的ストレッチは関節滑液の分泌を促し、センサーを活性化する
競技前のウォームアップには、動的ストレッチが必須

nicoriでは、「ただ柔らかくする」のではなく、「動ける身体をつくる」ためのストレッチを大切にしています。ぜひ、ストレッチの概念を見直し、より効果的な方法を取り入れてみてください!

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長島康之

長島康之

健康であれば、何でもできる。

長島康之 (ナガシマヤスユキ):柔道整復師(国家資格)。 株式会社nicori代表取締役(nicoriGYMとnicori整骨院を運営)。 現在はプロ野球球団の監督として采配をふるう、元プロ野球選手工藤公康氏の元トレーナー。

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