リュックと代償動作
みなさん、長時間のハイキングや旅行で大きなリュックを背負った経験はありますか?
想像してみてください。旅行の途中、リュックの一つのストラップが突然切れてしまったとします。そうなると、もう一方のストラップだけでリュックの重さを支えなければならない状況になります。この時、リュックを背負っているあなたの体は、傾きを感じ、不安定になるでしょう。そして、リュックが安定するように体を傾けたり、身体の動きを変えてバランスを取り戻そうとするでしょう。
この場面での「ストラップが切れる」ことを私たちの体の「筋肉や関節の機能低下」とみなし、そして「体を傾ける」や「身体の動きを変える」ことを「代償動作」と考えてみてください。本来働くべき部位や筋肉が機能していないため、他の部分が無理をしてその役割を補っているのが代償動作の特徴です。
そもそも、なぜ代償動作が起こるのか?
主な原因は「固定が安定しないこと」です。足裏や体幹がしっかりとサポートしてくれないと、他の筋肉がそれを補う動きをしてしまいます。例えば、ランナーの場合、足裏の不安定さが腰痛の原因になることがよくあります。足裏がしっかりと接地しないと、腰や背中の筋肉がその不安定さを補って動くことになり、疲労や痛みが出てきます。
どの部分が代償しやすいのか?
- 頚部:特に僧帽筋や肩甲挙筋が代償動作をしやすい部位。これは首を持ち上げるのに必要な筋肉がしっかり働かない時、周りの筋肉が無理に動いてしまうためです。
- 腰部:脊柱起立筋が代償しやすい部位。例えば、長時間のデスクワーク後の腰痛は、ここの筋肉が疲れてしまうからです。
- 上半身:二頭筋や大胸筋が硬くなりやすい部位。これは腕を上げる動きや前に伸ばす動きをする際に、筋肉が過度に緊張することが原因です。
- 股関節:四頭筋が代償しやすい部位。歩く、走る、ジャンプするときに、この筋肉が過度に働くことで骨盤が前傾し、痛みが出やすくなります。
代償動作のチェック方法
代償動作をしているかどうかのチェック方法は、その部位が硬くなっているか、または筋肉の緊張を感じるかどうかを触診することです。例えば、手で足の裏や腰の筋肉を押してみて、硬さや緊張を感じたら、その部分が代償動作をしている可能性が高いです。
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