皆さん、患者さんからの疑問や自身の知識深化のために、弛緩性について詳しく知っておくことは非常に重要です。ここで、弛緩性について具体的に解説していきます。
弛緩性とは?
弛緩性は、関節や筋肉、靭帯などが通常よりも柔軟で、関節が通常よりも大きく動く状態を指します。これは先天的な要因や特定の疾患、過度なストレッチなどによって生じることがあります。「弛緩性」という言葉の成り立ちや意味を理解するためには、その構成する文字を個別にみていきます。
- 弛(しつ)
この漢字は「緩む」「弱まる」「緩やかになる」といった意味を持つことが多いです。例として「弛む」のように使われることがあります。関節や筋肉が正常よりも緩やかになる状態を指す時に使われることが多いです。 - 緩(かん)
この漢字は「緩い」「ゆるい」といった意味を持っており、何かが弛んでいる、または緩やかである状態を示します。この文字は「弛」の意味を補強する役割を果たしています。
従って、これらの文字を組み合わせた「弛緩性」という言葉は、「緩やかである性質」や「緩みやすい性質を持つ」といった意味合いとなり、特に医学の文脈では関節や筋肉などが通常よりも柔軟である状態を示す際に使用されます。
弛緩性の原因
- 遺伝的要因:一部の人々は遺伝的に関節が柔軟であることが知られています。
- 特定の疾患や状態:エーラース・ダンロス症候群やマルファン症候群などの遺伝性の疾患は、関節の弛緩性を伴うことがあります。
- 過度なストレッチやトレーニング:特定のスポーツや活動を行う人々は、関節を過度に動かすことで弛緩性を持つことがあります。
弛緩性がもたらす問題
弛緩性そのものは必ずしも問題ではありませんが、以下のような問題を引き起こす可能性があります。
- 関節の痛みや不快感:過度に動かすことで関節や周辺の組織に負担がかかり、痛みを引き起こすことがあります。
- 関節の脱臼や捻挫のリスク:弛緩性がある人は、関節が通常よりも容易に外れるリスクがあります。
- 筋肉の疲れや筋力の低下:関節をサポートするために筋肉が常に緊張していることがあり、これが筋肉の疲れや筋力の低下を引き起こすことがあります。
初診の患者さんに対して、弛緩性の疑いが出たときの検査方法として、主観性のテストについてご紹介いたします。このテストは以下の7つの項目からなります。
- 親指の曲げテスト
腕を前に伸ばし、反対の手の親指を前腕につけるように曲げます。親指が前腕につく場合、主観性の疑いが出ます。 - 肘の伸展テスト
手首を直し、肘の伸展の角度を確認します。肘の伸展の角度が15度以上の場合、弛緩性の疑いが出ます。 - 背中の手を組むテスト
背中を見せ、手を背中で組むように回します。指先だけが接触するのではなく、手がしっかりつかめる場合、主観性の疑いが出ます。 - 足首の曲げテスト
足を踏み出し、膝と足首を曲げます。足首が過度に曲がる場合、主観性の疑いが出ます。 - 膝の伸展テスト
立った状態で膝の伸展の角度を確認します。膝が過度に曲がる、あるいは伸びすぎる場合、主観性の疑いが出ます。 - 手の前屈テスト
体を前に曲げ、手のひらが床につくかを確認します。手のひらが床に接触する場合、主観性の疑いが出ます。 - つま先の外向きテスト
足を正面に向け、つま先を外側に向けます。このときの角度が180度以上の場合、主観性の疑いが出ます。
これらの7つの項目において、4つ以上が陽性の場合、弛緩性の判定がされます。患者さんの訴えや症状に合わせて、このテストを取り入れてみてください。
コメント